人手不足・資材高騰で優位性が増す三協フロンテア
今日はユニットハウスメーカーの三協フロンテア(9639・JQ)について。経常利益率13%超、純利益率8%超、ROE11%と、なかなか収益力のある会社です。
動く建物「モバイルスペース」を提供
同社が製造するユニットハウスとは、簡単に言うと、仮設プレハブのような建物です。ただし、三協フロンテアのそれは従来のそれと比べると、デザイン性や機能性が高く、工事現場や物置などにとどまらず、活躍の場を広げています。
工場で大量生産したユニットハウスを折り畳んだ状態で輸送し、現地であっという間に建て上げる仕組み・体制を整えているため、動く建物・可動空間と位置づけて「モバイルスペース」と呼んでいます。
レンタルとしては、工事現場やイベント会場などでの設置が多いようです。現在、東京オリンピックや首都圏再開発の影響もあって需要旺盛。また、東日本や熊本の震災時にはすぐ設置できる仮設住宅として特需があったようです。
「仮設」だけでなく「本設」も人気
同社ではユニットハウスの構造や仕様を改良することで、従来の「仮設建築物」という枠を越えて、「一般建築物」としても製品化しています。会社事務所や飲食店、クリニック、薬局、保育園、銀行店舗など様々な建物として利用されています。同社ではこれを「仮設」に対して「本設」と呼んでいるようです。
近年、建設業界の人手不足や資材高騰の問題がある中、最小限の人手とコストで本格的な建物をすぐ建てることができる同社のユニットハウスには競争力・優位性があり、この本設販売の売上も伸びています。
実際、同社の本設事例を見ると、従来のプレハブのイメージでは全くなく、ガラス張りのおしゃれなカフェやクラブハウスが建っています。2階建て・3階建てなどもあります。
資源循環型の収益モデル
レンタルを終えて戻ってきた製品は、中古品としてリユース・再販売もしています(販売した製品も客先で不要になったら安く買い取ってリユースするようです)。
その場所で不要になったら壊すしかない従来の建物と比べて、資源循環型で地球に優しいビジネスモデルとも言えます。
東南アジアに進出!北米も?
同社では数年前からミャンマーとマレーシアに進出しています。
去年の株主総会では、ミャンマーとマレーシアでの事業はまだそれほど進捗していないとのことでした。この辺のスピード感はやや不足している印象です。しかし、そろそろ形になり始めるのかな〜と期待しています。また、「北米への進出も検討している」との話もありました。
ちなみに長妻社長が株主の質問に一つ一つとても丁寧に回答する姿が好印象でした。ホームページのIRリリースはイマイチな印象だったので、良い意味で少し意外でした。今後の海外展開には大いに期待したいところです。
ちなみに同社は中国に工場を持っています(日本国内の工場もあります)。
コインランドリーはどうなったのか?
同社の主な事業は、以下の通り。
- ユニットハウスのレンタル
- ユニットハウスの販売
- トランクルームの運営(自社ユニットハウスを活用)
- 機械式立体駐車場の装置販売
機械式立体駐車場というのは近年下火なのかもしれません。あまり力を入れいている様子が感じられませんので…。
去年の株主総会では、質問に答える形で「コインランドリーの運営も始める」旨の話がありました。なぜコインランドリーを?と思ったのですが、同社のユニットハウスを活用でき、各地のユニットハウス販売展示場やトランクルームに併設する形でシナジーが見込めるとの話でした。しかし、その後、特にホームページでもリリースがなく、どうなったのでしょうか…。この辺のスピード感やリリース意識はやはり少し物足りないものがあります。
株価は右肩上がりの傾向
株価は上げ下げしながらも、着実に右肩上がりを続けています。予想PERは11〜12倍ほど、配当利回り2.6%と割高感はありません。ただし、流動性が低いのが難。株式分割でもしてくれたら良いのにな〜と期待しています…。