さすらい投資家Qの覚え書き

割安株、成長株、有望株を探し求める中長期投資ブログ。

自動運転、EV、5G、IoT、AIで需要拡大が続くエスペック

今日はニッチトップとして世界で躍進するエスペック(6859・東1)についての研究です。

環境試験器で世界トップシェア

エスペックは環境試験器のトップメーカーで、世界シェア30%、国内シェア60%。経産省の「グローバルニッチトップ企業100選」にも選ばれています。

環境試験とは、様々な環境を人工的に再現することで、その環境が製品に及ぼす影響を分析し、製品の耐久性や信頼性を確認する試験のことです。

例えば、ジャングルのような熱帯雨林、砂漠のような乾燥地帯、南極のような寒冷地帯、はるか上空にある低温低圧の成層圏など、様々な環境を再現します。それによって、電子機器や工業製品が真夏や真冬、航空機の中で使用されても、性能・品質が保たれるかどうか確認するのです。

環境試験は様々な国際規格で実施が定められており、技術開発や製造段階で必ず行われます。自動車、スマートフォン、PC、家電製品、航空機、医療機器などのエレクトロニクス・自動車・素材分野のほか、医薬品・食品・化粧品分野など、幅広い業界で実施されています。

はやぶさ」や三浦雄一郎氏もお世話に

温度や湿度、気圧などの環境因子を精密にコントロールするエスペックの高い技術は、航空宇宙など先端技術の分野でも活用されています。小惑星探査機「はやぶさ」が世界で初めて小惑星から物質を持ち帰った際には、電子部品の信頼性検査で同社が貢献しており、功労者として宇宙開発担当大臣文部科学大臣から感謝状が贈られています。

また、三浦雄一郎氏がエベレストに登頂した際には、事前のトレーニングで鹿児島県の鹿屋体育大学にある低酸素ルーム(標高8,000メートルの酸素濃度を再現)を利用したそうですが、その低酸素ルームはエスペック製であると、先月の東証IRフェスタで石田社長が語っていました。

自動運転、EV、5G、IoT、AIの進展で需要拡大

 今、世界では技術革新が加速しています。自動車産業に大変革をもたらす「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電気自動車)はもちろんのこと、5G、IoT、AI、ドローンなど、最先端の電子部品・機器の開発が急速に進んでおり、それに伴って環境試験器の需要が拡大しています。

特に海外での環境試験ニーズが高まっているとのことで、同社の海外売上高は年々増加しています。海外展開は45ヶ国に及び、海外売上高比率は40%超と、まさにグローバルな躍進を続けています。

2019年3月期は上方修正&増配

ここまで良いことを書き連ねましたが、直近決算である2019年3月期の3Qはと言うと、売上は前年並み、利益は減でした。

しかし、これは同社の売上が4Q偏重であることと長納期のカスタム製品の受注が増加していることが影響しています。実際、受注高は順調に推移しており、3Q減益の決算短信と同時に、通期の上方修正(増収増益)と増配を発表しています。

売上に季節性があることや製品が設備投資であること、また、海外売上が大きいため為替の変動や米中貿易摩擦のニュース等にもやや敏感であることも影響してか、2018年2月のピーク時に3,000円ほどを付けた株価は、現在は2,000円ほどとやや低迷気味です…(一時は1,600円台まで落ちたので盛り返しているとも言えますが、まだ戻りが弱い感じです)。

予想PERは12倍と、成長性から考えれば割安感があると思います。連続増配中で、配当性向は40%超、配当利回り3.3%。自己資本比率は75%と好財務です。

東証1部、時価総額500億円ラインに投資妙味?

最近、東証「1部」の上場維持の基準見直しが議論されており、「時価総額500億円」にラインを設ける可能性も報道されています。エスペックは今日の終値2,010円であれば時価総額478億円です。株価が100円上がって2,110円なら500億円となり、もし500億円にラインが設定されるのであれば、ちょうど当落ライン上にいると言えます。

同社に限らず、当落ライン付近の企業は、1部維持を死守しようとする気もしますので、自社株買いや株主優待など、何かしらの株価対策をする企業も出てくるかもしれません。そういう意味では短期的な投資妙味が生まれるかも…? まー、しかし、今後、基準見直しがどう決着するのかわかりませんので、現時点では全く何とも言えませんが…。基準ラインが1,000億円だと厳しそうです…。

ともあれ、今後も株価の浮き沈みはありそうですが、世界で技術革新が続くのであれば、環境試験器のトップシェアである同社の需要は拡大していくでしょうから、長い目で見ていきたい銘柄です。期待したいと思います。