さすらい投資家Qの覚え書き

割安株、成長株、有望株を探し求める中長期投資ブログ。

日本動物高度医療センターは成長性はあるが一時停滞か

先日、日本動物高度医療センター(6039・マザーズ)の株主総会へ行ってきました。同社は犬・猫向けの高度医療を行なう二次診療の動物病院を運営しています。現在の病院数は川崎、名古屋、東京の3院です。

大阪病院の開院延期と保守的な計画で株価暴落

前期(2019年3月期)は東京病院の開院が寄与し、売上・利益共に大幅に伸びました。同社の成長エンジンには、連携病院数やそこからの紹介数(初診数)などがありますが、最もインパクトが大きいのが新病院の開設です。

しかし、前期決算を発表した際、2020年春に予定していた大阪病院の開院を2021年秋に延期したこと、さらに今期の計画がかなり保守的(伸びが微増で成長鈍化)とあって、株価が大きく下がりました(3,000円前後から2,000円前後へ)。成長株と位置づけられていたので、株価の反応は仕方ないでしょう。

株主総会では大株主から厳しい声も

大阪病院の開院延期と保守的な計画の理由は、働き方改革への対応です。具体的には労働基準法の改正を受けて、残業を減らす必要があり、獣医師の人員増、または診療数の抑制などの対策を打つ必要があります。当然、獣医師を増やしたいのですが、人手不足が叫ばれる昨今、簡単にパッと集まるわけではないようです。

株主総会ではこれに関連する質問が株主から多く出ました。熱心に回答する社長は今も現場に立つ一獣医師であり、動物医療に真摯に向き合う姿勢が強く伝わってきました。無理な急拡大はせず、患者である動物や飼い主にしっかり向き合える体勢を整えた上で、新病院を開きたいとの話がありました。

大株主からは厳しい声もあがりました。「 拡大を無理に急ぐのは良くないから、開院延期は賛成だが、働き方改革への対応をするから業績が伸びないというのはどうなのか。働き方改革への対応なんて、どこの企業でも当たり前。その中で業績を伸ばすのが経営者の役割ではないか」という趣旨の話がありました。まー、これはこれでもっともな意見です。株主総会の雰囲気は、去年はアットホームな空気が流れていましたが、今年はなかなかピリッとした感じでした。

今後も成長性は大いにあるが、一時的に鈍化か

今期の計画は同社が自ら「保守的」と言っているので、うまくすると大きく上振れることもあるかもしれませんが、まー、何とも言えません。また、「大阪開院については2021年秋には確実に行なうし、可能ならば少し早めたい」とのことでした。大阪の後は、九州、北海道などでの開院を順次進めたいとの話もありました。

同社の成長は一時的に鈍化しそうですが、開院は各地で順次行なっていくでしょうから、将来的にはまだまだ成長すると思います。ちなみに有価証券報告書を見ると、大阪病院の土地はすでに確保してあるようで、これまでの川崎、名古屋、東京と比べても土地面積が断トツで大きいので、けっこう立派な病院にするのかもしれませんね。

株主としては一時的な成長鈍化はもちろん残念です。しかし、総会を通じて、同社が上場会社として利益最優先というわけではなく、病院として動物の高度医療に真摯に向き合う姿勢が強く感じられたことは、少し安心した部分でもありました。

まー、かくいう私は、株価が高い時に大部分を手放したので、ほぼダメージはありません。しばらく株価は停滞しそうなので、大阪病院の開院が見えてきたあたりで、安値ならまた買い戻したいかな〜と考えています。同社の今後に期待しています。

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日本動物高度医療センターの川崎本院