さすらい投資家Qの覚え書き

割安株、成長株、有望株を探し求める中長期投資ブログ。

ソラストが介護事業のM&Aで急成長を続けている

今日は成長株として期待を集めているソラスト(6197・東1)について書きたいと思います。同社の主な事業は以下の3点です。

  • 医療関連受託事業(医療事務の派遣等)
  • 介護事業(訪問、通所、施設等)
  • 保育事業

売上高構成は、医療関連受託が72%、介護が25%、保育・他が3%となっています。

安定収益を生み出す医療関連受託事業

以前の社名が「日本医療事務センター」だっただけあって、医療関連受託事業が売上の大きなウェイトを占めています。

これは病院の医療事務を受託・派遣する事業です。診療報酬請求業務の専門性や人材採用・育成の負担などから、医療機関による強い外注ニーズがあります。また、病院組織の特殊性から参入障壁が高いようです。

ソラストはこの分野で国内シェア2位(26%)とのこと。顧客のうち5割は契約継続年数10年以上、4割は400床以上の病院と、顧客基盤が安定しており、このセグメントの営業利益率は10%超となっています。

介護事業はM&Aのノウハウが蓄積

同社の最も大きな成長エンジンとなっているのが介護事業です。「売上成長はM&Aで」と明確な方針を示している通り、積極的な買収で拡大を続けています。

同社では、高齢者の生活エリアごとに全ての介護サービスを提供する「地域トータルケア」を掲げています。各エリア内で訪問介護通所介護、居宅介護支援、グループホーム、有料老人ホーム等を充足させながら、エリア数を増やしていく方針であり、これを主にM&Aによって進めています。

介護業界は巨大な成長産業である一方、人手不足や利益率・生産性の低さ、倒産件数の多さ(小規模事業者が多い)などの課題も多く、淘汰が進みやすい状況です。そのため、経営力のある企業には大きなチャンスとなっています。

同社では、医療関連受託事業が生み出す安定収益を介護事業のM&Aに活用できること、また、M&Aの経験を積み重ねてきたことでPMI(買収後の統合プロセス)のノウハウを蓄積していることが大きな強みとなっています。

IT活用で「サービス業のデジタルカンパニー」へ

同社では、IT活用にも非常に力を入れています。「サービス業のデジタルカンパニー」を標榜しており、医療事務や介護、保育の各現場において、人手不足を補い、業務改善や働き方改革を実現するため、新たなITシステムを積極的に導入しています。

例えば、デイサービス用の介護記録システムやタブレット端末を利用した訪問介護支援システム、病院の初診患者が保険証番号などの情報を簡単に入力できる受付システム、また、AIを活用した離職防止策(退職リスクの高い従業員をAIが判定し、事前フォローにつなげる)、採用管理システム(求人広告出稿から面接予約までを自動化)などです。

当然、買収した事業所にも導入して業務改善を図れるため、このようなIT投資がPMIの着実な実施にもつながっています。

ちなみに、同社は昨年、ITで優れた経営革新を行なった企業等が表彰される「ITビジネス賞」を受賞しています。

VISION 2030」で売上3,000億円を目指す

同社では、医療・介護で業界No.1を目指しており、2030年には売上高3,000億円、営業利益200億円を達成する「VISION 2030」を掲げています。

この売上高3,000億円の内訳は、医療が1,000億円(営業利益率15%)、介護が1,500億円(同10%)、新規事業が500億円(同15%)としています。現在250億円規模の介護事業を1,500円規模に成長させ、医療の売上を抜く計画です。

同社はこれまでも大きな目標を掲げ、着実にそれを実行し、企業価値を拡大してきました。保守的な予想しか出さない上場企業も少なくない中、同社は野心的な目標を掲げ、かつ有言実行する印象があり、頼もしさが感じられます。

新規事業への挑戦も、簡単なこととは思いませんが、期待したいと思います。

来期に向けたM&Aも動き出している

今期(2019年3月期)の進捗も順調で、3Q時点で二桁の増収増益です。つい先日の3月27日には、東京・神奈川で通所介護事業所を53カ所運営する「なごやかケアリンク」の買収も発表しました。この分の売上・利益は来期(2020年3月期)に乗ってきます。

株価は昨年1,500円近くまで上昇しましたが、その後、一時1,000円前後まで下げて、直近は1,246円と持ち直してきています。

私が同社株を最初に購入したのは、分割を考慮すると500円前後の頃です。その後、買い増しし、さらに上げ下げに応じて一部利益確定や買い戻しをしてきました。現在はいわゆる恩株の状態ですが、臨機応変に買増しチャンスを伺っています。

現在の予想PERは38倍ほど。今後の成長を考えれば、それほど割高ではないと個人的には考えています。株価の上げ下げがそれなりにあるので、上手く一部を売ったり買ったりしながら長く保有していきたいと思う銘柄です。