さすらい投資家Qの覚え書き

割安株、成長株、有望株を探し求める中長期投資ブログ。

地味だけどニッチな日本空調サービス

今日は日本空調サービス(4658・東1)について。

しかし、社名が地味ですよね〜。ありふれていて、つまらない響き。他社とも混同しそうです。空調と言っても、せっかくニッチな分野に強いのだから、もう少し違う社名に変えたらいいのにな〜、なんて個人的に思ったりします…。

と、いきなりディスってしまいましたが、基本的には応援しているのです。

売上高の半分が「年間契約」

さて、同社は空調、電気、給排水、衛生など建物設備の「メンテナンス事業」を展開しています。独立系企業であるため、メーカーを問わずに様々な機器に対応できるのが強みです。

ただ単に保守・管理をするだけでなく、設備・環境診断やソリューション提案も行なうことで、既存建物の設備を更新する「リニューアル工事」も展開しています。これは既に保守・管理を請け負っている建物が中心なので、新築の設備工事を得意とする大手ゼネコンやサブコンと競争になりにくい環境と言えます。

同社の売上は、ざっくり7割がメンテナンス事業、3割がリニューアル工事といった感じです。そのうち売上高全体の半分くらいを「年間契約」が占めており、このストック収益が経営を安定させています。

「特殊な環境を有する施設」の売上が7割以上

同社の最たる特長は、維持管理に高度な技術を必要とする「特殊な環境を有する施設」の業務に特化しており、その売上高比率が7割以上を占める点です。

具体的には、病院や研究所、工場などです。手術室の無菌化、室内圧のコントロールによる院内の気流制御、工場のクリーンルームの清浄度管理など、空間の特殊管理が必要な施設です。

一般的な建物設備のメンテナンスと比べて参入障壁が高く、国内の大型病院(600床以上)における同社のシェアは12%を占めています。同社では「特殊な環境を有する施設」の売上高比率をさらに高めていきたいとしています。

あの有名施設の設備管理も

ちなみに、2005年の「愛知万博」(愛・地球博)では、会場内の空調設備全般の保守・管理を同社が担いました。

また、同社が手がけてきた施設には以下のようなものがあります。

同社は全国47都道府県に拠点を展開していますが、名古屋が本社です。さすがに名古屋近辺は特に強いようですね。

海外売上の拡大を目指す

同社は海外進出にも積極的で、東南アジアを中心に7ヶ国に進出しています。そのうちシンガポール、中国は順調のようですが、タイ、マレーシア、ベトナムは黒字化を急いでいる状態、ミャンマーバングラデシュは近いうちに本格的な営業を開始したいという段階で、全体的にはまだ苦戦中です。

現在の利益ほほぼ国内のみで稼いでいます。今後は海外営業利益比率を伸ばし、5年後に5%、10年後に10%を目指すとしています。また、国内外で外国籍の従業員を増やしていく方針です。

今期は上振れ着地の期待

今期(2019年3月期)の3Q決算は、売上323億(前年比1.7%増)、営業利益18億(同11.8%増)、経常利益19億(同12.3%増)、純利益13億(同25.2%増)と増収増益です。全体的に進捗も良く、特に純利益は通期計画の84%に達しています。

年間契約の原価発生タイミングが均等ではなく、例年、利益が2Qと4Qに偏る傾向がある点から考えても、通期は上振れが期待できそうです。

配当性向は今後も50%を維持するとしており、利益拡大による増配を目指しています。現在の配当利回りは3.3%ほど、PERは15倍ほどです。

ちなみに同社の筆頭株主は、持ち株比率8%の「自社従業員持株会」です。

 

今後の安定成長、海外拡大に期待したいと思います。