さすらい投資家Qの覚え書き

割安株、成長株、有望株を探し求める中長期投資ブログ。

「造らない建設会社」、ショーボンドHDの株主説明会へ行ってきました

一昨日、ショーボンドホールディングス(1414・東1)の個人株主説明会に参加してきました。

同社の個人株主を対象に、毎年1回、東京と大阪でそれぞれ開催されている説明会です。私が参加した東京会場は、去年は水天宮前のホテルでしたが、今年は東京証券取引所内の東証ホールでした。

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インフラ老朽化で好況が継続

同社は建設業ですが、「造らない建設会社」です。新規の建設は行なわず、インフラ構造物のメンテナンス(補修・補強)に特化しています。高度経済成長期に建設された橋梁・トンネルなどの急速な老朽化や巨大地震への備えの必要性から、長寿命化や予防保全のニーズが高まっており、好調な事業環境が続いています。

今期(2019年6月期)についても、先月、上方修正&増配を発表しています。もっとも同社は会社予想が保守的で、上方修正&増配するのが例年の流れとなっていますが。

少なくとも向こう10年は好調?

説明会は、中期経営計画や今期業績の説明、施工事例の紹介、茨城県つくば市にある研究所の紹介VTR、質疑応答といった感じの内容でした。

ざっくり簡単に言うと、高速道路会社、国交省、地方自体など、案件がたっぷりあり、その状況が当面続くとのこと。受注残高も過去最高の498億円が積み上がっており、特に高速道路の案件は金額規模が大きく工期が長いため、それぞれの案件が数年に渡って業績に貢献するため、経営が安定しやすくなっているとのことでした。

高速道路会社がすでに発表している計画(15年間で4兆円)から考えても、少なくとも2030年代前半までは今と同じような状況が続く見込みとのことでした。つまり、向こう10年以上はまず安泰と考えて良さそうです。

また、同社は「技術のショーボンド」を自負する通り、自社研究所で新材料や新工法の開発に力を入れており、技術力でメンテナンス業界をリードしています。その優位性を生かして、採算性を重視した受注戦略を徹底しており(営業利益率は18%)、あえて「規模は追わない」と断言していました。

三井物産と合弁で海外進出

私も含め、参加した株主の関心を最も集めていたのが、先月発表された「三井物産との合弁会社設立による海外進出」についてです。

1年半ほど前に三井物産から「そろそろ海外でもメンテナンスが始まりそうだ」と声かけがあったとのこと。日本はインフラ老朽化が加速しており、世界でもメンテナンス先進国と言えるのですが、おそらく声かけのニュアンスとしては、アジアでもインフラのメンテナンスが動き出しそうだ、ということだと思います。

合弁会社では、ショーボンドの工法・材料を三井物産の海外ネットワークを活用して海外で販売する、また、国内外で独自の技術力・製品を持つ企業に出資あるいは買収し、その工法・材料を海外で販売する、としています。

海外では、あくまで「工法提案」「部材供給」「施工指導」に徹し、元請けとしての工事受注はしないとのことでした。海外での工事の元請けは、過去に他社の失敗例があり、リスクが高いと考えているようです。

あくまで同社らしい慎重な姿勢

2021年6月期までの3カ年の中期経営計画には、海外売上は見込んでいないとのことでした。メンテナンス工法の提案・指導にはかなり時間がかかるため、すぐに大きな収益貢献は見込んでおらず、「花が咲くかどうか、ひとまず3年は頑張ってみる」とのこと。

株主としては「スピード感を持ってガンガン拡大していく」なんて言ってほしいものですが、そこはさすがに慎重で保守的な同社らしいコメントでした…。長い目で期待したいと思います。

ちなみにすでに実際に「工法を教えて欲しい」というアジアの企業がいるそうです。

ゆっくり堅実な成長が続きそう

今回の感想としては、インフラ老朽化の加速は社会問題化しており、今後も需要が確実視されていることから、改めて同社の事業には安心感があると思いました。ただし、「規模は追わない」と言っている通り、急激な成長ではなく、ゆっくり堅実な成長を続けていくのでしょう。そう言う意味では、長期投資向きなのだと思います。

株価はPER的にやや割高感もありますが、同社が保守的な予想を出したり、上方修正を発表したりを繰り返してくれるおかげか、いい感じの押し目を発生させながら、着実に上昇している感があります。

 

ちなみに去年もそうでしたが、個人株主説明会では参加者にQUOカード1,000円分が配られました。交通費の足しになるのでありがたいです。

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